社員がうつ病を発症したとき、会社が取るべき対応方法について説明していきます。誰もがかかる危険性のあるうつ病ですから、きちんとした理解が必要なのです。

 

・うつ病は発症しやすい病気

職場において発症する精神障害は、うつ病が大半を占めます。

男性が約70%、女性が約30%

職場や仕事などが原因で自殺に追い込まれた社員の70%が、うつ病を患っていたといわれています。

そのうち90%以上が男性というショッキングなデータも。男性の自殺者数が多い年代は働き盛りの4049歳といいます。

自殺の背景には長時間労働や災害・事故への遭遇、セクハラ・いじめといった人間関係のトラブルがあることが判明しているので、会社サイドは解決に向けて積極的に取り組むべき。

うつ病は誰もが発症する危険性を秘めている病気なのですから。

 

・診断書の提出が必要

うつ病が原因で休職を求める社員には、まずは医師が作成した診断書を用意してもらうようにしましょう。

診断書には病名だけではなく、休職する必要性の有無がはっきり記載されていなくてはなりません。

病気の信憑性を確認するためにも、そして手当金の手続きなどに欠かせないのです。

うつ病の社員から診断書を渡されて休職を要求されたら、すぐに休ませてください。

就業制限が記載された診断書を提出してからも勤務を続ける社員に事故やトラブルが起こったら、
会社が責任を取らされる危険性が高いからです。早急に休息を与えてから、対処法を考えるようにしましょう。

 

・仕事場の環境を見直す

仕事場の環境が最悪な場合、社員がうつ病になる確率は高くなる傾向にあります。

例えば長い労働時間。80時間以上もの残業が毎月行われている仕事場は、うつ病患者製造工場といえます。

常にピリピリムードが漂い、日常会話はおろか挨拶もない環境も同様です。神経がおかしくなるのも無理はありません。

パワハラやセクハラの横行は論外です。

会社はそのような環境を見直し、正常な仕事場に作り替えましょう。ひとつの手段として、うつ病の社員の配置換えや担当替えも有効。
新たな環境への移動によって、うつ病で苦しむ社員が心身共にリフレッシュして仕事に取り組む可能性があるからです。

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・解雇は考えない

社員がうつ病になったからといって、邪魔者扱いするのはもってのほか。

もちろん解雇は考えてもいけません。

職場の環境や上司の接し方が原因で、うつ病にかかってしまった場合、不当解雇に当該すると考えられるからです。

労働契約法16条において、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする』と定められています。

正当な理由がない解雇命令は解雇権濫用に該当し、解雇は無効となるのです。

雇用は法律で守られている労働者の権利。不当解雇を命じられた社員から、
訴訟や労働審判などを通して訴えを起こされる可能性もあります。解雇は考えないことが無難といえます。

 

・しっかり対応すれば他の社員にもいい影響を与える

 

会社は日頃から社員の健康を見守らなくてはいけません。うつ病の社員がいる場合ならばなおさら。

うつ病はパニック障害や適応障害との関連性が強い、対処が難しい精神疾患。

社員が自殺するという最悪のケースもあり得るのです。

過労自殺と労災認定が下された会社が、倒産した例もいくらでもあります。

うつ病を軽々しく捉えると、取り返しがつかなくなることを覚えておいてください。

会社は社員の健康管理を怠ってはいけません。

社員が提出した診断書に対して十分な対応をすることは当然なのです。

会社の対応がしっかりすることが職場の改善につながり、社員にとって働きやすい環境になります。

うつ病になった社員の早期復帰という相乗効果も期待できるので、取り組むように努めてください。

うつ病の社員への対応方法について説明してきました。

さまざまな人がいる職場ですから、いい関係だけではなくトラブルもあって当然。

ただ、いかなる場合でも会社は、社員の健康を第一と考えて取り組まなくてはいけません。

職場が原因でうつ病になるケースは今後も増え続けることが予測されます。

会社は日頃からしっかりした対応を心がけるようにしてください。